LGBTの次はSOGI?——看板を入れかえるだけでは失われてしまうSOGIの本当の意味と意義
Wezzyがなくなってそろそろ1年になります。
私のことをWezzyの記事で知ってくれた人や、当時私がWezzyで書いたものをたくさん読んでくれてた人もいると思います。
閉鎖時に担当編集者がくれたアーカイブを読んでいて「これがもう見れないのはもったいないなあ」と思ったので、数週間かけて少しずつレターでお届けしています。
前回は私がWezzyに初めて書いた記事『「不快な思い」とは何か——日本マクドナルドの対応から考えるメディアと差別の関係』でした。
今回は「SOGI」という言葉についての記事です。
記事で語っているのは、LGBTという言葉の限界や問題、人を指す言葉であるLGBTとの違い、基準や尺度を表すSOGI概念が持つ批評性、性的指向という概念と差別の歴史などです。
よかったらご覧ください。「いいじゃん」と思ったらお友達やお知り合いにおすすめください。
世間はまだ「LGBTって、聞いたことあるけどよく分かんない」の段階だというのに、また新しい言葉が生まれてしまいました――
こんにちは、ライターのマサキチトセです。YouTubeでLGBTフレンドリーな英会話レッスン動画をアップしてますが、鳴かず飛ばずの毎日に心が折れそうです。
さて今回皆さんに紹介したいのは、「SOGI」という言葉。
実は今「LGBTに代わる言葉」として当事者やその周りの人たちの間に広まりつつあります。
以下では、SOGIってどういう意味? なんの略? もうLGBTって言っちゃいけないの? SOGIが正しくてLGBTは正しくないの? などの疑問にお答えしたいと思います。

アスファルトであろう道路の表面。薄いチョークのような白色で「?」マークが無数に書かれている。
■そもそもLGBTって何?
LGBTとは「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー」の略です。1990年代のアメリカで急速に広まり、ここ数年は日本でも積極的にテレビなどで使われるようになったことから、「聞いたことはある」という人も多いことでしょう。
日常生活でも近所の知り合いの口から「LGBT」って言葉が出てきたりと、日本での認知度が高まっていることを感じます。
■LGBTという言葉の問題その1:ビジネス用語として広まってしまった
でも一方で、認知度=理解度とも限らないのが悲しいところ。
日本でLGBTという言葉が急速に広まったのは、ビジネス用語としてでした。LGBT当事者は「未開拓の市場」とか言われて、あたかも商品の付加価値、消費者、労働者、企業のブランディングの道具でしかないようなイメージで語られることが多くなりました。
また、その流行に乗っかって商売をする団体や企業も増えています。中には当事者によるものもあります。LGBTに対する理解を広めるという大義名分を掲げておきながら、実際は「LGBTに理解のある人間になりたい」という人々の心理を作り出しつつそのニーズに応えることでビジネスを成立させるというモデルが確立しつつあります。
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- ■LGBTという言葉の問題その2:LGBTからこぼれ落ちるアイデンティティ
- ■じゃあSOGIって何?
- ■SOGIという言葉の意義
- ■人を指す言葉「LGBT」、基準を指す言葉「SOGI」
- ■SOGIが差別の基盤?
- ■批判の力を削がれた「SOGI」に意義はあるか
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