空腹でもないのに
先日あるモデルの女の子がインタビューで「体型を維持するコツは」と聞かれ、「お腹が空いてない時は食べないことです」と答えていた。目から鱗だった。そんなこと、考えたこともなかった。
私はその日買ってきたものを全て食べるし、誰かと食事に行けば必ず食べ物を何か注文する。どんなにお腹が空いていなくても、生ハムサラダとフライドポテトくらいは食べられる。コンビニで買ったチーズ鱈も、ビーフジャーキーも、翌日に持ち越したことなどない。 もうお腹いっぱいだな、と思うことはあるけれど、だからって別に食べられないわけじゃないんだから食べてしまおう、というわけだ。 そうやって起きている間のほとんどの時間を、食べ物がある限り、食べながら過ごしている。
その成果、と言うべきかどうかは分からないが、かつて60〜70kg台をうろうろしていた私はここ10年以上しっかりと肥満で、ベテランのデブになった。
ベテランになるとダイエット法の知識なんかも意外と身についていて、有酸素運動がいいらしい、いや筋トレがいいらしい、糖質制限がいいらしい、いや糖質は摂るべきだ、といった様々な相互矛盾を孕んだダイエット言説に触れてきた。(ちなみに今「有象無象のダイエット言説」と書こうとして、確認のために辞書を開いたら「雑多なつまらぬものたち」とあった。それはニュアンスが違うなと思って辞書のウィンドウを閉じようとしたら、そこには翻訳機能も備わっていて、"elephantless elephant" とあった。とても詩的な表現だなと思った。)
そのたくさんのダイエット言説の中で、実はうんと前から心にずしんと残り続けているものがある。それは、あるダイエットブロガーが書いた「空腹状態がデフォルトなんです」というものだ。 曰く、腹が満たされている状態をデフォルトと思っていると、空腹になった時にそれをデフォルトの状態に戻そうとして食べてしまう、それは良くない、ということだった。別にどっちがデフォルトとかそんな決まりなんてないと思うし、多分生物学的根拠とかだってないと思うのだけれど、何となく響いたのだった。
承認欲求、という言葉がある。誰かに認めてもらいたい、褒められたい、すごいと思われたい、という欲求のことだ。そんなのは誰にでもある欲求で、取り立てて話すようなことでもないと思うのだけれど、多くの人は、承認欲求が強い人のことを少し馬鹿にしている。 英語にもそういう人たちを馬鹿にする表現がある。"attention seeker" だ。アテンションは「注意を向ける」という時の「注意」、あるいは「注目」といってもいいかもしれない。シーカーは「何かを欲しがり、求める人」という意味だ。 先日その言葉について、英語のツイッターアカウントでこう書いた。