スカっとしない方のフェミニズム
それは、人間の変容可能性を信じるフェミニズム、とも言えるかもしれない。
瀬戸マサキ
2025.04.14
読者限定
(2022年3月10日にnoteに掲載したエッセイです。)
1年前か、それとも2年くらい前か。ツイッターで見つけたのか、Facebook で見つけたのだったか。看護師が主人公の短い漫画だったと思う。
とある老人が入院していて、その妻が毎日看病に訪れている描写から始まる。
夫は身の回りの世話を全て彼女にさせていて、そのくせ彼女への態度は非常に悪い。横暴な物言いで、あれをやれ、これをやれと指示しては、時々癇癪を起こすような男だった。もしかしたら彼女もまた同じ病院に入院していたのだったかもしれない。
もうあまりそういった細かい記憶は無い。
とにかく彼女は少しずつ看護師たちに心を開くようになり、夫の傍若無人さは看護師らの知るところとなった。
そんなある日、夫の容態が急変する。
もう今にも逝ってしまうのではなかろうかという時、もがき苦しむ夫の耳元に彼女が口を近づけ何かを言う。その言葉が引き金になったように、夫は息を引き取った。
彼女が言った言葉を聞いたのは、一人の看護師だけ。
「ずーっとあなたのことが大嫌いだった。早く逝ってください」