2022年11月30日(水) うちらが死ぬ前に
みなさんこんにちは。今日も1日お疲れ様です。
悲しいお話しですが、ちょっと聞いてください。
山本蘭さんが亡くなったそうです。三橋順子さんのブログがツイッターのタイムラインに流れていて、そのおかげで知ることとなりました。
山本さんとは直接の交流はほとんどありませんでしたが、GID学会の発展に長く貢献されていた人で、その行動力には敬意を持っておりました。個別のことがらについて僕と彼女は大きく意見を異にしていましたけれど、あるとき僕のことをツイッターでフォローしてくれて、「こんなに意見が違うのに…?」と驚いたのを覚えています。
振り返れば彼女の言動には全く賛同できないものも多々ありましたが、あるトランス女性が社会の変革のために奔走し、こうして人生を駆け抜けたことを、感慨深く受け止めています。
同じクィアとくくられることを山本さんは望まないだろうけど、僕は勝手に仲間意識を感じていました。心から「お疲れ様でした」と言葉をかけたいです。
僕ももう37歳です。少し前から、知り合いが亡くなるという経験が増えてきました。常野雄次郎さん、宇佐美翔子さん、イトー・ターリさん……。最近も、知り合いではありませんがセックスワーカー運動のパイオニアである Carol Leigh の訃報を目にしました。そして誰より、今年の2月には僕自身の祖母も亡くなりました。
社会運動に携わる僕たちは、望ましい未来を頭に描いて活動しています。特に僕のように夢想家の気がある者は、何十年、いや、へたしたら数百年後の未来を想像していたりします。
けれど、それでは間に合わないのです。
山本さんも、常野さんも、宇佐美さんも、イトーさんも、Leigh さんも、もういないのです。女性で、貧困と暴力に苦しんだ祖母も、もういないのです。
僕たちは、間に合わなかったのです。
誰かがこの世を去るとき、僕たちは毎回、間に合っていないのです。
昨日も、今日も、間に合わなかったのです。