小山エミさんがご逝去されました(追記あり)

6月11日(現地時間6月10日)、エミコヤマ/小山エミ/macskaさんがご闘病の末、米国ワシントン州シアトルの病院で亡くなられました。
瀬戸マサキ 2026.06.13
誰でも
エミさんと愛犬エイドリー 2018年12月8日 ワシントン州シアトルの映画上映会にて(撮影:山口智美)

エミさんと愛犬エイドリー 2018年12月8日 ワシントン州シアトルの映画上映会にて(撮影:山口智美)

6月11日(現地時間6月10日)、エミコヤマ/小山エミ/macskaさんがご闘病の末、米国ワシントン州シアトルの病院で亡くなられました。エミさんは最期、彼女のご家族や、大切な人々に見守られながら旅立ちました。家族を愛し、友人に寄り添い、他者を尊重する愛情深い人でした。

エミさんは長年に渡りアクティビストとして性暴力やDVの被害者支援や性産業従事者支援、インターセックス当事者の権利向上、クィア/トランス当事者の解放運動、日本軍「慰安婦」問題の解決に向けた運動、さらには国際養子をめぐる問題の提言活動など幅広い活動を展開してこられました。それに加え、書籍、論文、雑誌記事の執筆、そして様々なオンラインでの発信によって、彼女の拠点である米国内はもちろんのこと、米国以外の活動家、研究者、マイノリティ当事者にも大きな影響を与えました。

私たちもまた、エミさんの日米両方におけるアクティビズムや言論活動に多大なる影響を受けてきました。住んでいる場所は離れていても、日常的に連絡を取り合いさまざまなことを語り合った本当に大切な友人でもありました。

きっと多くの方々が、それぞれのかたちでエミさんから沢山のものを受け取ったのではないかと思います。

どうか共に悼み、エミさんを想って下さると幸いです。

また、エミさんの愛犬キティはご家族のもとにいます。ご安心下さい。

そして、一つお願いがあります。

エミさんが近年とりわけ力を入れていた運動のひとつが、地元シアトルでの「アイリーンズ (Aileen’s)」という団体の運営です。アイリーンズは、地域で性産業に従事する女性らのウェルビーイングと自己決定権の向上を目指す団体です。当事者を中心とした運動の場であるとともに、安心して過ごせる居場所でもあります。

今、そのアイリーンズの存続がエミさんのご逝去によって危ぶまれています。どうか、アイリーンズへのファンドレイジングにご協力をお願いできないでしょうか。これはエミさんのご闘病中に運動仲間が立ち上げ、現在も継続しているものです。エミさんはこの団体の運営にご尽力され、引継ぎの準備に心を砕かれていました。ご闘病中のエミさんに寄付を申し出た人たちに対しても、彼女は「その分をアイリーンズに寄付して」とお願いされていました。それだけアイリーンズはエミさんにとって大切な活動だったのです。エミさんを想って下さる皆様のそのお力を、どうかアイリーンズへのご寄付として分けて頂けないでしょうか。

ファンドレイジングの詳細はリンク先をご覧ください。英文です。

アイリーンズのサイトは以下のリンクからご覧ください。

2026年6月13日

荻上チキ
斉藤正美
瀬戸マサキ
なつき @sakanazuki-ntk.bsky.social
なんばりょうすけ
山口智美

***

エミさん、ありがとうね。生きてくれて。私に出会ってくれて。たくさんいろんなことを教えてくれて。

エイドリーには会えたかな。迎えに来てくれたかな。羽の色を白にしたバージョン描くの後回しにしてて、間に合わなくってごめん。

あぁ、パスポート取ったのになあ。また直接会いたかったなあ。早いよー。早すぎー。

エミさんと 2010年1月11日 オレゴン州ポートランドにて(撮影:向井アンナ)

エミさんと 2010年1月11日 オレゴン州ポートランドにて(撮影:向井アンナ)

エミさんと 2010年12月14日 オレゴン州ポートランドにて(撮影:瀬戸マサキ)

エミさんと 2010年12月14日 オレゴン州ポートランドにて(撮影:瀬戸マサキ)

いつもエミさんがたくさん送ってくれた私の世界で一番大好きなお菓子コーンナッツ(ランチ味)

いつもエミさんがたくさん送ってくれた私の世界で一番大好きなお菓子コーンナッツ(ランチ味)

***

追記

日本にいる私たちが Aileen’s への寄付を募っていることについて、誤解や懸念の声が少しみられましたので補足します。

まず、あの訃報と寄付のお願いを書いた私たち6名のうち2名(私を含む)は、エミさんの家族そして現地の友人たち、つまり生前は本人のサポートをし、今後も病院関連のことや葬儀や銀行、著作権のこと、そして活動の引き継ぎなどをしていく人たちと同じグループで長いことやりとりを重ねてきた2名です。

亡くなる直前の数日間も常に状況が共有され続けていましたし、亡くなった直後のとても苦しい時間も一緒に過ごしたのです。

遠くから勝手に故人の意思を推測して寄付を募ったわけではなく、私たちは常に現地の家族や友人らとやりとりを重ねながら、時にタイミングを合わせたり、何が適切なのかの擦り合わせをしながら動いてきました。

Aileen’s については、診断されてからずっとエミさん本人がとにかくこの団体の存続を心配していて、本人もあの寄付ページ(亡くなる前は「回復するまでの間の存続のために寄付をお願いします」という内容でした)を知り合いに広くシェアしていたという背景があります。「闘病中のエミに寄付したい」と言ってくる人に、エミさんは毎回「私はいいからAileen'sに寄付して」と頼んでいました。

また、この寄付ページを作ったのはエミさんの近しい友人の一人であり、Aileen’s メンバーのマディソンという人で、そこには最初から「エミが闘病中、私たちの団体は閉鎖の危機に直面しています」と書いてありました。つまり、日本の私たちが勝手に「エミさんがいなくなって Aileen’s が大変だろう」と推測したわけではなく、団体側から「エミがいなくなったら大変だ」という発信がされていたのです。

(この背景には Aileen’s の複雑な予算事情があり、私はこれについて説明する立場にないので詳しいことは何も言えませんが、決して「Aileen’s はエミさん一人の無償労働に依存していた」というわけではありません。)

サステナブルな団体運営が理想なのはもちろんですが、今回は診断から治療開始、そして体調の悪化、ご逝去までの期間があまりに短かったことも、Aileen’s の存続が危ぶまれている理由の一つです。

こういった背景があり、私たち6名は訃報の中に Aileen’s への寄付のお願いを含めることにしたのです。それがエミさんの最も大きな願いだとわかっていたから。

私ともう1名は、今も現地の仲間と今後の動きについて引き続きグループチャットでやりとりをしています。日本での著作権問題や日本語ウェブサイトの管理問題などについても、今後タイミングを見計らって現地の仲間、特に家族に相談して決めていく予定です。

私たちが勝手なスタンドプレーをしているわけではないことをご理解ください。また、そのような邪推を向けられることは、今まさに故人を悼み、エミさんにとって何がベストなのかを模索し、現地の仲間とやりとりを重ね続けている私たちを深く傷つけるものであることをご理解ください。

無料で「包帯のような嘘」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

誰でも
f/q 交換日記(2026/8/2・瀬戸マサキ)
読者限定
2026年7月まとめ
誰でも
対面イベントのお知らせ『「普通のセックス』だけが正しい?——SM・LG...
誰でも
『クィア英会話』ニュースレターと英会話レッスン生徒募集再開について
誰でも
来週末(6/13)午後のオンラインイベントのお知らせ
誰でも
2月と3月にやったことまとめ
誰でも
速やかに、穏やかに、つつがなく終わる交流
読者限定
一体のテディベアがおよそ値するだけの愛情